2011高校野球広島大会の準決勝「新庄VS崇徳戦」で前代未聞の中断79分がありました。
今回の異例の中断はなんだったのか?
テレビ中継、マスコミ報道などをまとめてお伝えします。
準決勝第二試合は、手に汗握る緊迫した流れで9回が終わって4ー4の同点のまま延長戦へ
突入しました。
問題が起こったのは、延長10回表の新庄の攻撃のとき。
10回表新庄の攻撃 崇徳は先発の阪垣投手がマウンド
この回、崇徳先発の阪垣投手が先頭打者に内野安打を許した後、左翼に回り、松尾が救援登板
ショートゴロで1アウト後、左翼に回っていた阪垣が再登板し、松尾は左翼に投手交代
ここまでは問題はなかった。
ここから二死になったところで再び松尾を登板させようと崇徳側が投手交代を告げ、阪垣を左翼に戻そうとして、審判団も交代を認め、審判は投手交代をコールし、松尾も投球練習を始めた。しかし、広島新庄側から「おかしい」とアピールがあった。
ルールでは、同一イニングで投手が1度別の守備位置についた場合、再び投手に戻る以外は認められず、松尾を再登板させようとすれば、阪垣がベンチに退くことが必要だった。
【野球規則3.03】「原注」
同一イニングでは投手が一度ある守備についたら、再び投手となる以外他の守備位置に移ることができないし、投手に戻ってからは投手以外の守備位置に移ることもできない
話をややこしくさせたと思われるのが、この日は総力戦で崇徳側は8回の猛攻時に代打攻勢を行うなどしたため、この時点でベンチ入り20人を使い切っており、ルール通り、つまり「交代は認められない」となると、阪垣投手はベンチに下がらなければならず、野球規則を厳密に適用すれば、崇徳側は投手交代を認めると、人数不足で没収試合となる可能性があった。
報道によれば、崇徳側は「春も試しているし、その時は問題にならなかった」と主張、
新庄側は「規則は規則」「帰りますよ!」などと怒気を含んで抗議。
この守備位置変更をめぐり、高校野球特別規則適用について審判団が協議に入り、79分間にわたって
試合が中断する異例の事態となったわけです。
審判団は「不手際ですみません。試合を再開させてください」と場内アナウンス。
崇徳の投手交代を認めず、試合を再開した。
広島高野連・阿蘇品理事長は「申し出があった時に(審判が)ルールを把握していなかった」と不手際を認めた。その上で「高校野球は教育的な意味合いを持ってやっている。厳しい方向(没収試合)よりは、元の状態に戻して再開しようというのが、こちらの判断」と話した。
結局1時間19分後、投手・阪垣で、2死三塁から試合再開となったが、再開直後に新庄が1点を勝ち越し、試合は5ー4で新庄が勝利しました。
異例の中断はビックリしましたが、さすがだなあと思ったのは、広島新庄の迫田監督は「バッグから2冊の野球規則を取り出し、ルールを含めて試合ですから」と穏やかに試合を振り返ったというエピソード。
1年に一度あるかないかという事態に備えて練習するといわれますが、まさに10年に1回あるかないかにも対応された広島新庄の迫田監督には改めて脱帽です。
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