※このコラム雑感は、当接骨鍼灸院の院長宮迫をより深く知っていただくためにこれまで出稿したものを紹介しています。


私は高校時代、甲子園を目指す高校球児でした。

我が母校は全国でも知らない人がいないぐらいの超有名野球校です。私は勉強には自信はありませんでしたが、野球では少しばかり自信がありました。高校一年の秋には一年生ながら県大会のメンバーに選ばれ、私の高校野球生活は順風満帆のようにみえました。が、そこからが私の苦悩の始まりでした。

ケガにつぐケガ、自分自身の過信慢心等々。

そして一度も甲子園を経験しないまま最後に迎えた夏の大会前のこと・・・。

私は春の県大会(四月)中、右膝内側側副靭帯の損傷をし中国大会(五月)の選出メンバーから外されました。それはケガでいたしかたなかったのですが、それからが問題でした。ケガは全治4?5週間。五月中には完治するはずであり、夏の大会にはなんの問題もなく私は出場できるつもりでいました。

しかし、春の県大会では監督の方針で私はあまり起用されていませんでした。

「わしは監督のチーム構想からはずれている?」

ケガをして普通の練習ができず、体育館で筋トレをしながら、ふと頭をよぎりました。「まさか。」「わしに限って。」「一年の時からメンバーに入っているのだから。」等々自信で固められていた私の心がぐらつき始めました。
 
「ケガが治れば大丈夫だ。ケガをしたからメンバーから外れたんだ。わしはほかの誰よりも上手だ。」そう思おうとすればするほど焦りもでてきました。
 
六月に入りケガも完治し普通の練習に入るようになったのですが、どうも私の居場所はありませんでした。最初はケガの遅れでと思っていたのですが、一週間たっても居場所を発見できませんでした。
 
「監督の眼に私はいない。」これが分かった時、私の完治していた足は痛くなりはじめました。

こうなったらあとは察しがつくと思いますが、悪い方向に一直線です。練習もそこそこにして接骨院通いが始まりました。

「足が痛いので練習ができない。」「ケガさえしなければずっとレギュラーだったのに。」「わしは上手かったけどケガしたけんの。」「ケガをしたけん、試合にでられんのんじゃ。」等 自分の実力はすっかり棚に上げて言い訳のオンパレードです。

案の定、私の最後の夏の大会は“大会前”に終わりました。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

今夏、中学校で県下No1のソフトボール部の選手が大会一カ月ぐらい前に二人来院しました。聞けば、二人とも肩が痛いと言う。一週間ほど治療をして経過良好で「もうこなくていいよ。頑張りんさい。」というと、まだ痛いという。

はて?

大会は迫っているのにこの子達は何を考えとんじゃろう。と思いながらいろんな話をしました。よくよく聞いてみると、この二人は最近後輩にポジションを奪われたらしい。

「治っているのに痛い。」

私の高校の時に非常によく似ているケースでした。彼女たちもケガをしたからポジションを奪われた。という理由ずけがほしかったのである。

では仮病なのか? 

 「いや違う。」

「ケガは治っているが精神的な要素で痛いのだ!」

こんな時の治療はとりあえず患者の話を聞いてやることでです。そして患者の主張はすべて認めてやるということだ。否定しても何も解決しない。ケガを治すことだけが仕事ではない。心のケアをしっかりしてやらねばならない。
 
私も高校の時の接骨院の先生に随分と話(愚痴)を聞いてもらい、アドバイスをうけました。そうすれば心も楽になり、落ち込んでいる気分は晴れやかになり、前向きに物事を考えられるようになりました。

高校時代の最大の目標である甲子園が試合をする以前の段階で散ったのですが、先生のよきアドバイスのお陰で立ち直ることができました。またそうすることによって足は“完全”に完治しました。高校の時通っていた接骨院は私にとって“心のよりどころ”でありました。ケガそのものは本来治癒しているのですから、いかに早く心のケアができるかが施術者の腕のみせどころです。

私の持論ですが
「思ったこと(望んだこと)がなんでもできるほど世の中は甘くない!しかし最大限の努力をしなければならない!そして退路(逃げ道)も用意しとけ!」

なんと分かりにくい持論ですが、一生懸命やったけどダメだったということは、人生において決して珍しいことではありません。そこで退路の大切さをよくしゃべります。 しかし間違ってはいけません。退路を先に用意してはいけません。また退路ばかり考えてもいけません。まずは最大限の努力です。

こうして治療をした二人の選手は試合にはスタメンではでられなかったものの、その後一生懸命練習に励み、代打、代走で試合に出場しました。彼女たちが当院を“心のよりどころ”と思ったかどうかは分かりませんが、私の気持ちは理解してくれているものと思っています。

今後、当院が患者さんの“心のよりどころ”となれるように頑張りたいものです。

ちなみに私がメンバーから外れたチームは県大会の決勝で破れ、惜しくも甲子園出場は逃しました。と言う分けで私の同級生はみんな甲子園にいけませんでした。


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